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- 2025年10月 9日
- イベント
第21回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウムを開催しました
本学に事務局を置く、日本障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)では、2025年9月27日 土曜日、国立東京オリンピック記念青少年センターにて、第21回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム「社会的障壁とは、情報保障とは、今問い直す支援の在り方」を開催しました。今回は、「理解を深める事前企画」として、聴覚障害や情報保障に関する基礎的な知識についての講義や、学生や支援現場のリアルな声を届ける対談などを4本の動画にまとめ、8月~9月にかけてオンデマンドで配信しました。そして開催当日の27日は、この事前企画を深堀りするセミナーのほか、ポスターセッションやテーマトークなど参加者同士が情報交換できる企画を中心に実施し、参加者は527名(配信視聴のみを含む)、事前企画の再生回数は合計1,620回と大変多くの方にご参加・ご視聴いただきました。
27日の企画は、2本のセミナーとポスターセッション、テーマトークを並行して行い、参加者が関心のある企画に自由に参加できる形式で実施しました。セミナー1「ネットワークの力で支えあう支援-地域のつながりを力に」では、支援担当教職員のネットワーク活動の取り組みについて、宮城教育大学の前原明日香氏から東北地区の状況、同志社大学の土橋恵美子氏から関西地区の状況について、それぞれ紹介されました。また、学生間のネットワークの事例として全日本ろう学生懇談会の取り組み紹介を行い、今年度事務局長を務める本学4年生の髙橋理子さんが登壇しました。コロナ禍を経てオンライン会議が普及する中、大学同士、学生同士がつながることの意義を改めて捉え直す場となりました。
セミナー2「社会的障壁とは 情報保障とは-事前企画を一歩深める-」では、事前企画で講師を担当された愛媛大学の加藤哲則氏、愛知教育大学の岩田吉生氏、武蔵野大学の志摩村早紀氏、明治大学非常勤講師の吉川あゆみ氏が登壇し、各企画の総括とともに、今後聴覚障害学生支援を充実させるために何が必要か、議論を深めました。
ポスターセッション会場では、今年度から「聴覚障害学生支援に関する実践共有セッション」と名称を変更し、オープン実践部門・教職員部門で合計22のポスターセッション発表が行われました。昨年までは、応援したい取り組みに参加者が投票し、得票数の順に表彰を行っていましたが、今回からは応援や共感、アドバイスなどのメッセージを、カードやウェブフォームで送り合い、文字通り様々な実践や思いを共有し合うための場としてリニューアルしました。会場ではこの他、会員機関協会(企業展示)、筑波技術大学活動紹介、正会員大学支援室紹介の展示も行われ、会場内には人の輪が絶えず、活発な情報交換が行われていました。テーマトーク企画では音声認識システムやパソコンノートテイクを使った支援の工夫、実習授業での支援の工夫といった各テーマについて、学生や教職員など立場を超えた参加者が集まり、ファシリテーターを交えて意見交換を行いました。
クロージングの表彰式では、「聴覚障害学生支援に関する実践共有セッション」のポスター発表について、文部科学省学生支援課課長補佐の奥井雅大様、本学の石原学長をはじめ5名の審査員が、それぞれの視点でグッドプラクティスと感じた発表を選び、選出理由の紹介とともに表彰が行われました。最後に発表を行ったすべての団体にも奨励賞の記念品が贈られ、会場からは温かな拍手が送られました。
写真は、左が聴覚障害学生支援に関する実践共有セッション会場が発表者、参加者で賑わう様子、右がセミナー2でディスカッションを行う講師の様子です。
(障害者高等教育研究支援センター 中島 亜紀子/2025年10月9日)