国立大学法人筑波技術大学 筑波技術大学は視覚障害者・聴覚障害者のための大学です。

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  • 2022年3月 7日
  • 聴覚

本学協力のCultural Future Camp短期集中ワークショップが開催されました

グループワークに参加する森敦史さん(左)、レクチャーをする松尾政輝さん(右)

東京都歴史文化財団「クリエイティブ・ウェル・プロジェクト*」と本学が協働している「Cultural Future Camp:インクルーシブ・デザインで新しい文化体験を共創する」の一環として、短期集中ワークショップが2022年2月17日 木曜日から2月20日 日曜日までの4日間にわたり開催されました。芸術表現に必要なアクセシビリティ・コーディネートと、文化施設を中核とした共生社会の実現について考えていくことを目的に、芸術文化における「情報アクセシビリティ」をテーマに、障害当事者がデザインの上流から一緒に活動する「インクルーシブ・デザイン」手法を取り入れたワークショップです。

本学大学院技術科学研究科の修了生である松尾政輝さん(国立研究開発法人産業技術総合研究所特別研究員)が視覚障害者の立場から「インクルーシブに楽しむゲームの開発」について、森敦史さん(本学職員)が盲ろう者の立場から「国内文化施設アクセシビリティ調査の報告」についてレクチャーを担当し、他の講師約10名とともにグループワークにもファシリテーターとして参加しました。グループワークでは、音楽(楽器インタフェース)、ゲーム、テクタイル(触覚技術)、字幕の4テーマに分かれ、講師と参加者がともに丁寧なコミュニケーションを図って創造活動に取り組み、最終日に成果発表が行われました。落ち込んだ時の気持ちを表現する音探し、盲ろう者も対等に参加して楽しめるゲーム、触感でさまざまなことを伝える物語、音や響きをパステルで表現する絵字幕など、障害当事者の体験やその傾聴で刺激を受けた参加者のアイデアが交錯して新たな創造につながるプロセスが見られる成果となりました。

文化施設で情報アクセシビリティの向上に取り組むときに、既存の選択肢だけで考えるのではなく、施設を利用するリードユーザーが加わって選択肢の範囲を広げていく「インクルーシブ・デザイン」手法を取り入れることの重要性と可能性にあらためて気付かさせられるワークショップとなりました。

*クリエイティブ・ウェル・プロジェクトとは

東京都歴史文化財団では、芸術文化の力や都立文化施設の資源を活用し、高齢化や共生社会など、東京の社会課題解決への貢献を眼ざし、高齢者、障害者、外国人、乳幼児等を対象者とした「アクセシビリティ向上」と「鑑賞・創作・発表機会の拡大」に取り組む「クリエイティブ・ウェル・プロジェクト」を令和3年度より実施しています。
左写真:グループワークに参加する森敦史さん
右写真:レクチャーをする松尾政輝さん
写真撮影:佐藤基
文化庁・東京都歴史文化財団「Cultural Future Camp:インクルーシブ・デザインで新しい文化体験を共創する」短期集中ワークショップ(2022年2月)

(障害者高等教育研究支援センター 大杉 豊/2022年3月7日)