2025年10月23日 東京新聞 朝刊 朝刊茨城版 16頁 見出し 秘めた闘志でブロック。 試合の流れ変える力に。 見出しここまで。 用語解説ここから。 デフバレーボール。1セット25点先取のラリーポイント制。6人制で、基本ルールは通常のバレーと同じ。会場は駒沢オリンピック公園体育館。男子は11月16日に強豪イタリア、17日にブルガリア、18日にフランス、20日にアメリカと対戦する。決勝は25日。 ここまで。 本文ここから。 挑む。「気合い入れろよ、って監督やコーチからよく言われる。自分では入れているつもりなんですけど」。はにかむように笑い、記者の質問に淡々と答える。ポジションはミドルブロッカー。「試合でブロックを決めれば、ガッツポーズが出ます」。内に秘めた闘志がコートではじめる。 昨年沖縄で開かれた世界選手権に続き。代表入りした。 選手権では女子は優勝したが、男子は出場8ヵ国中6位。世界は高く、速い。「日本の課題でもあるブロックが良くなかった。チームでのブロックポイントは是をに近いのでは。海外の選手は自分より、もっとたくさん止めている」 宮崎市出身。生まれつき難聴で、人工内耳や補聴器を使えば、多少は会話が聞こえる。小学5年で、兄と同じように地域のクラブでばれ0を始めた。パリ5輪に出場した聴者の日本代表、甲斐優斗(かい まさと)選手(専修大)とは同郷、同級生で幼いころから対戦してきた。 高校まで聴者と同じ学校で競技を続け協議を続け、補聴器を外して聞こえない状態でプレーするデフバレーは、筑波技術第に入って始めた。 「高校までは試合中、聴者の選手とのコミュニケーションに苦労した。デフバレーは手話で会話するので困らない」という。筑波技術大を受験したのは「自分と同じ障害のある人が集まる大学で、バレー部もあるし、行ってみようかなと思って」。学内の寮に住み、バレーに打ち込む。 初代表での選手権を目前にしたころ、左足首をねんざした。直ったはずでも調子が上がらず、試合にも出してもらえなかった。選手権後、今度は右手小指を脱臼。「けがをしたり練習がきつかったり、満足のいくプレーができず落ち込んだり。バレーを辞めたい時はたくさんあった」。そんな時は、宮崎の母にlineを送る。「辞めたければ、辞めればいい。続けたければ、続ければいい」という励ましが、背中を押してくれた。  目標とするのは聴者のアルゼンチン代表で、自分と同じブロッカーのアグスティン・ロセル選手。「世界トップレベルで、反応がとにかく速い。尊敬しています」。海外選手の動画を見て学び、イメージトレーニングを続ける。 競技の魅力を「どうにも止められないアタッカーが開いてにいる場合や、試合の流れが悪いとき、自部のブロック一つで流れを変えられるところ」と語る。デフリンピックの初戦は、世界選手権2位のイタリア。「選手権の時より多くブロックを決め、チームに貢献したい」。目標は、選手権1位のトルコ、3位のウクライナを破ってのメダルだ。  大学バレー部で指導する筑波技術大産業技術学部の今井計准教授は「入学時からチームの主軸。初のデフリンピックで、まずはメダル獲得を目指し、毛がなく無事に大会を終えてほしい」と願う。 おおつぼ しゅうへい。2003年、宮崎市出身。身長183センチ。筑波技術大産業技術学部先端機械工学コース4年。地元の工業高校で学んだコンピューター利用設計システム(CAD)に「2次元の図面を3次元の製品にする達成感が気持ちいい」と魅力を感じた。バレーを続けながら、機械設計の仕事をする将来像を描く。好きな食べ物は長崎ちゃんぽんで、合宿後は必ず食べる。ゲームや動画視聴で気分転換する。 本文ここまで。 写真の説明。筑波技大の体育館で高めに伸ばした左手で下からボールを掴み、サーブ直前の様子。 テキストここまで。