ホーム > お知らせ・イベント情報 > 新入生へのメッセージ

新入生へのメッセージ

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

今年度の入学式は新型コロナウイルス感染予防のため、中止となりました。 新入生の皆さんにとって人生の節目となる式典を行うことができなかったことについて、皆さんや保護者の方々と同様に、本学教職員もたいへん残念に思っています。

これからの1年間は、皆さんだけでなく、大学にとっても試練の期間となるでしょう。大学キャンパスに集うことができない今、遠隔授業を中心とした学習形態を取らざるを得ません。ただ、筑波技術大学は従前から、特別支援学校や他大学との交流の中で、テレビ会議システムを用いた支援やコミュニケーションを行ってきており、他大学と比較して、遠隔教育のノウハウを有した大学です。このノウハウの中には、もちろん聴覚や視覚に障害がある人々への情報保障も含まれています。対面式授業と同様に、遠隔授業においても聴覚障害、視覚障害に配慮した授業を実施していきますので、皆さんは授業内容を理解することに専念し、分からないこと、疑問に思うことは積極的に先生に質問してもらえればと思います。

また、遠隔教育を行うための通信機器や機材を持っていない学生には、大学がこれを準備し貸し出します。自宅等で遠隔授業を受ける環境の整備については、出来得る限りの支援を行いますので、先ずはクラス担任やアカデミックアドバイザーの先生と相談しながら、通信環境の準備をお願いします。

このような状況のため、筑波技術大学の最大の特色である、少人数対面型授業が出来ないことは本当に残念です。しかし、それでも視覚や聴覚に障害がある人々のための高等教育機関という本学の特色は、色あせるものではないと確信しています。 昨今は本学以外の大学でも障害学生への支援が行われるようになっていますが、本学の教育は、そうした大学の支援とは一線を画すものです。

昨今は本学以外の大学でも障害学生への支援が行われるようになっていますが、本学の教育は、そうした大学の支援とは一線を画すものです。

一般の大学では、障害学生の学修や学生生活上の不利益を補うことを「障害学生支援」と位置づけ、障害のある学生が他の学生と同じように、教育や研究に参加できるよう保障することを目指しています。

一方、本学は単に障害ゆえに生じる不利益を除去するだけでなく、障害ゆえに潜在化しがちな学生たちの能力を引き出し、顕在化させるとともに、障害のために習得しづらい知識や情報を意図的に付加したりすることで、障害のある学生一人ひとりが十分な成長を遂げられるような「教育」を行っているのです。そして、そのためにも、広く様々な分野の「情報」を吸収し、「知識・技術」として定着させるとともに、体験や実感をともなった「智恵」に昇華させていけるよう実践しています。今学期は、遠隔授業が中心になることもあり、このような体験の機会が少なくなってしまうことを危惧してはいますが、それでも聴覚・視覚に障害のある学生達が、最大限学べる環境を目指して教育を行っていくことが本学の使命であり、開学以来求めてきた本学にとっての目標です。

一方、少し視点を変えてみると、今回のような遠隔授業で学ぶ経験は、みなさんにとって、卒業後・修了後の職場環境適応に向けた非常によい準備になるとも言えるでしょう。 既に進行しつつある第四次産業革命では、人工知能やIoTを中心とした社会が形成されつつあります。今後、職場でもテレビ会議やテレワークが当たり前のように行われ、あらゆる業種・職種での働き方を変えていくでしょう。この機会を新たな社会に適応する準備と捉え、主体的に授業に参加してください。

そして、そんな社会の中で生き抜くためにも、皆さんには、心がけてほしいことがあります。それは、自らの意思に基づく決定をしてほしいということです。

皆さんのほとんどが、本学入学を志すにあたって、自ら志望校を選択し、決定したという意識があると思います。しかし、もし皆さんの心の中に「他の人に言われたから仕方なく本学を選んだ」という気持ちが少しでも残っている人がいるとしたら、その気持ちは、今日、この瞬間に捨てて下さい。本学の中でも、卒業した後の社会生活の場でも、これからの人生には大きな試練があります。しかし、試練は「自分で決定した道だ」という意識があれば、乗り越えられるものです。それが「誰かに導かれたのだから」という思いのままでいると、困難な状況に陥ったのも誰かのせいだと考えてしまうのではないでしょうか。

皆さんの中に、もしこれまで親御さんや先生に意思決定をゆだねていたという人がいたら、大学入学を機に、自分のことは自分で決める、自らの手による意思決定をしていくことを選択してください。社会に出ると、教育というサービスを受ける立場から、自ら社会に貢献する立場に変わります。そんな立場で力を発揮していくためにも、自ら考え、動くことを忘れないでください。

最後に保護者の皆様と、新入生を支えてこられた皆様へお伝えします。

わが子に障害があると分かった日から今日まで、本当に様々なことがあったことと思います。きっと万感の想いで今日この日を迎えておられることでしょう。大学に進学するほどの能力を身につけるまでに彼らを育ててこられたことに、心より敬意を表します。 本学は全力で彼らの能力伸長に努めます。同時に、何か心配なことがあったときには、皆様にもご相談やご連絡をすることがあるかもしれません。どうぞ引き続きご子息、ご息女の成長を見守りいただき、本学の教育にお力添えをいただければ幸いです。

新入生の皆さん。大学4年間、大学院2年間はあっと言う間に過ぎ去ります。充実した日々が送れるよう、ぜひ学業に精励してください。


令和2年5月11日
筑波技術大学
学長 石原保志

(広報室/2020年5月11日)