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朝日新聞に本学支援センター(春日) 太田智加子講師への取材記事が掲載されました。

12月17日付の朝日新聞 教育面に、本学 太田智加子講師 への取材記事 「英語民間試験見直し 障害ある学生への配慮 民間では限界も」 が掲載されました。

大学入学共通テストで見送られた英語民間試験の活用ですが、健常者ベースで語られがちな本件について、障害のある受験生が利用する際の問題点、今後の公平公正な大学入学共通テストのあるべき姿を述べられています。

以下、朝日新聞社の承諾の元、転載しており(承諾番号:19-5315)、朝日新聞社に無断で転載することを禁じます。

===(以下、転載)===

(揺れる大学入試)英語民間試験見直し 障害ある学生への配慮、民間では限界も 太田智加子さん

取材を受ける太田智加子さん

視覚障害のある学生に英語を教えています。大学入学共通テストでの民間試験の活用が見送られ、ひとまず安堵(あんど)しました。活用される予定だった7種類の民間試験では、障害のある人に対し、時間延長やパソコン持ち込みなどの配慮がありますが、その内容にはばらつきが目立つからです。

■選べる点字に違い

例えば、英語の点字には全ての単語をフルスペリングで表す「1級点字」と、頻繁に出てくる単語などを縮約形で表す「2級点字」があります(2016年度からは2級点字が「統一英語点字(UEB)」へと変更)。2級点字(またはUEB)だと速く読み進められますが、習得には時間が必要で、特に中途失明した学生は大変です。ところが民間試験は、選べる点字の種類が試験によってまちまちなのです。

点字に対し、印刷された文字を墨字(すみじ)と呼びます。弱視で墨字が見える学生は、拡大墨字で受験しますが、選べる文字のサイズも試験によって異なっています。

また、問題文などを読み上げる代読者や、解答の記入をサポートする代筆者がいるかどうかも、ばらつきがあります。代読者がいる場合も、聞き取れなかったところを繰り返してくれるのかどうかなど、各試験の要項を見るだけでは分からない点が多々ありました。

■最善尽くせるよう

萩生田光一・文部科学相の「身の丈に合わせて頑張ってもらえば」という発言で、経済的・地理的な格差が改めて注目されましたが、障害のある学生は、自分に必要な配慮を受けられる試験を選ぶ必要もあり、負担はさらに深刻です。

障害の種類や程度は個々人で違いますから、完全な公平性を担保するのは難しいです。でも、一人一人が「ベストを尽くせた。障害に関係なく、これが自分の英語力だ」と結果を受け入れられる環境を、できる限り整えることが大切です。それを複数の民間企業に同時に求めるのは、限界があるのではないでしょうか。

新しい英語入試制度を考えていく際は、障害のある学生や、彼らの実情をよく知る教員にもヒアリングするなど、障害のある学生の学ぶ権利についても十分に考慮してほしいです。

今年のセンター試験では視覚や聴覚障害などがある約3千人が、時間延長や拡大鏡使用などの配慮を受けました。配慮の内容にばらつきのある民間試験を使うより、現行のセンター試験で、障害のある学生が最大限実力を発揮できるようにしていく努力が先決です。(聞き手・三島あずさ)

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筑波技術大学講師 福島県出身。東北大学大学院国際文化研究科博士前期課程修了。専門は社会言語学、英語教育学。

===(転載終わり)===

(障害者高等教育研究支援センター 金堀 利洋/2019年12月27日)