tsukuba-tech.学長日誌
2007年6月30日 土曜日 ・ 日韓共同開発研究事業「電子本・小さな哲学者」の試作版の評価検討会
【日韓共同研究締結事業】「哲学絵本・小さな哲学者の聴覚障害者用電子本の作成」は、石原教授や白澤准教授らの協力により、試作版1号が完成した。韓国バラメディア社のキム・ジンラク社長、映像作家のビエン・サンドン氏、劉・准教授と私の4人が、ソウル教育会館に集まり、試作版「食べ物を盗んだ猫」の日本手話、対応手話、口話などの映像をチェックした。今後多少の修正で完成版を出せそうである。
2007年6月29日 金曜日 ・ 韓国国立特殊教育院を訪問 ・ 韓国文科省を訪問
【韓国・国立特殊教育院(KISE)】は、日本の「国立特別支援教育総合研究所(特総研:NISE)」にあたる。日本では、特総研が文科省の初等中等教育局のもとに、義務教育段階を中心に心身障害児に対する特別支援教育の政策実施に関わる。そして、高等教育段階の障害者教育支援については、初中局や特総研は直接の関与は行わない。障害学生支援は高等教育局の管轄である本学や日本学生支援機構の特別支援課が実際に担当する。これに対し韓国では、国立特殊教育院が義務教育段階だけでなく大学の障害学生支援の政策遂行にも関わることとなった。
つまり、韓国国立特殊教育院(KISE)と日本国立特総研(NISE)との連携だけでは、韓国側にとっては、日本の障害者高等教育の情報が欠落してしまうという心配がある。このところ本学に韓国の大学関係者が強い関心を示すようになった。その理由の一つには、「新特別教育振興法」の30〜31条に加わった「各大学は障害学生支援センターを設置するか、または障害学生支援を担当する部署と職員を配置しなければならない」という法律が、来る8月1日から施行されることにある。
【韓国・文科省】が「新特別教育振興法」の施行後、国内の障害児教育機関や障害学生を教育する大学等に対して、どのように具体策を示し指導していくのかがこれからの課題である。韓国文科省を訪問し、地方教育支援局次長、特殊教育政策課長、課長補佐、係長と懇談した。ここでも筑波技術大学の障害学生支援をモデルにし、韓国の障害学生の体制を整備したいと、強い期待が寄せられた。
2007年6月28日 木曜日 ・ 韓国国立再活福祉大学にて大学間交流協定の締結式
【大学の統廃合の動き】が韓国でも進んでいる。1県1国立大学の方策のようだ。韓国再活福祉大学は漢京大学(ハンギョン大学)に統合されることが決定した。来年5月からは、大きな国立大学の中の一つの学部として新たな歩みを始める。
4年前に技短として締結してあった大学間交流協定を一旦破棄し、4年制の筑波技術大学として改めて今後5年間にわたる協定を締結することになった。
【締結式】の会場は立派に設えられ、チャン(Suk Min Chang)学長と私とで互いに協定書にサインし、障害者高等教育研究を発展させるための両大学の新たな連携のスタートを確認した。
(写真は大学間交流協定を締結した後のチャン学長との握手を交わしているところです)
2007年6月27日 水曜日 ・ つくばEPOからの見学を案内
【つくば市市民活動センター】は市民活動団体を支援する目的で設立され、つくばセンタービル1階に事務局や資料室などのスペースがある。今年4月につくば市は「つくば市民活動推進機構」を指定管理者とし、センターの運営を委託している。「つくば市民活動推進機構」は「つくばEPO」の愛称をもつNPO法人である。筑波学院大学の門脇厚司学長が代表理事を務めている。市内の多様なボランティア・NPOとのパイプを持っている「つくばEPO」の日頃の活動に注目していた私は、いつか関係者に本学を紹介できる機会がないものかと考えていた。
【つくばEPO】の代表理事である門脇学長と松浦幹司・事務局長に、多くの理事や監事などとともに来訪していただいた。天久保キャンパスと春日キャンパスの施設設備や授業を案内した。いつも見学者に評判のよい定番のコースの他に、今回は久し振りに私の古巣「聴覚・補聴相談室」の無響室にも全員で入ってもらった。参加者の一人から「お年寄りの補聴器が合わなくて困っています。こんなに立派な設備のあるところで診てはもらえないのですか。」と要望が寄せられた。「補聴器外来」の窓口が本学に設けられたら市民はどんなに助かるだろうと、また余計な構想をいだいてしまう。
2007年6月26日 火曜日 ・ 大学院設置準備室の第1回会議開催
【大学院設置】を準備するための第1回会議が開催された。村上芳則・副学長を室長とし、15名の教員と事務職員の混成チームである。できれば4年制第1期生卒業につなげて平成22年度のスタートを目指してもらいたい。そのためには、大学院設置認可の審査を受けるため用意周到な準備がなされなければならない。学内での大学院構想はほぼ固まってきたと思われる。今後は、大学院を必要とするステークホルダー(特に聴覚障害者や視覚障害者)を確認し、聴覚・視覚障害者のための大学院設置を応援してくれる人々の要望を集約するなど、学外とのコミュニケーションが大事な段階になってこよう。21世紀初めの10年に、我が国初の障害者のために特化した国立の大学院が生まれるとしたら、20年前の技短創設にならぶほどの革新的な意義がある。
2007年6月24日 日曜日 ・ 本学聴覚障害学生の日本語力
【言語聴能教育実践科学会】の研究例会を、事務局長である長南浩人・准教授のお世話により、天久保キャンパス大会議室で開催した。この会は年1回全国規模の大々的な実践講座をこれまで32回開催してきた。これらの活動のほかに、障害に関わるトピックスや小テーマについて、身近な専門家からの話題提供をもとに勉強会を持とうという趣旨で、教師や親も自由に参加できる研究例会を随時企画することになった。今回の話題提供者は、障害者高等教育研究支援センターの細谷美代子・教授にお願いした。参加者6名(聾学校教員2名、聴覚障害教育専攻学生1名、本学教員3名)が講師の細谷教授を囲む、小さいながらも有意義な勉強会であった。学内外のもっと多くの人に聞いていただきたい貴重な内容が用意されていただけに、勿体ないことをしたとの想いが強い。
【細谷先生】は、10年以上にわたり本学の聴覚障害学生の日本語表現指導や国語教育にあたってこられた。筑波技術大学の聴覚障害学生は、高度で専門的な大学教育を受けるのに必要な日本語力を十分に備えているのかどうか、本学の教職員に限らず、聾学校・難聴学級や就職企業等の関係者にとって常に関心の深いことがらである。今回の例会では、留学生に適応される「日本語能力試験」や一般用読解演習問題を本学の聴覚障害学生に行った結果から、基礎的言語力の特徴的な実態などが報告された。およそ2割以上の学生は、比較的難解な読解能力が求められる一般大学の教育を受けるに足る日本語力を身に付けていると思われる。一方、大学レベルの授業内容についていけなくならないように、読み書き能力伸張のための特別支援が必要な聴覚障害学生も、少なくとも2割はいるらしいことが分かった。本学に「ラーニングセンター」を設置したいと構想したかつての夢を捨ててはいけない。
【聴覚障害児・者】の日本語力向上の決め手の一つは「読みの絶対量」であると思う。日本語を優れて駆使できるようになった聴覚障害者は、必ずと言っていいほど毎日の読書量が桁違いに多かったし、今も文字による情報授受の環境を広げ続けている。
2007年6月20日 水曜日 ・ 韓国ナザレ大学から来訪の聴覚障害学生と懇談
【姉妹大学】(大学間交流協定締結大学)である韓国ナザレ大学の学生18名、教職員4名が、昨日から4日間の予定で訪れている。昨夕、韓国から成田空港に到着した訪問団を出迎えることが、関彰から寄贈を受けたばかりのマイクロバスの初仕事となった。
【ナザレ大学・ユニバーサルデザイン学科】の学生は全員が聴覚障害学生である。約1時間、日本語−韓国語−韓国語手話の通訳を介して懇談した。私の知る韓国における障害者のための高等教育の進展と比べながら、本学の実情と将来の展望について概要説明を行った。
(写真は懇談時の様子です)
2007年6月18日 月曜日 ・ 関彰マイクロバス贈呈式
【大学の公用車】の一つにマイクロバスがある。2つのキャンパス間の移動や学外実習などに、教職員や学生が長年お世話になってきた。購入以来15年以上も利用されてきたが、老朽化と排ガス規制で県外に出かけられないなどの不便さが生じ、とうとう廃棄処分した。
【関彰商事株式会社】の関正夫・代表取締役会長のご厚意でマイクロバスが寄贈され、その贈呈式が行なわれた。29人乗りの新車は移動用としてだけでなく、聴覚・視覚障害者が乗車中にも必要な情報を受け取ることができる「ユニバーサルデザイン情報保障バス(仮称)」として、本学ならではの最新の機能を構築していく予定である。
2007年6月14日 木曜日
・ 国立大学法人学長等会議(三田共用会議所)に出席、
・ 関東地区聾学校教頭副校長会(水戸聾学校)に出席、「大学教育を通して観た聴覚障害児の育ち方・学び方・生き方」を講演
【3日間続けて東京】での会議に出席し、つくば東京間を往復する毎日で疲労が溜まったのと、会議会場内や移動車内での冷房のためか、風邪をひいてしまった。微熱、咳、鼻水、咽喉の痛みで、学長日誌を書き綴るのも億劫になっている。酒も旨くない。
2007年6月13日 水曜日
・ 「筑波技術大学教育研究助成財団」の理事会・評議会を開催(学士会館)、「新学生寄宿舎」建築のための募金活動など、本学の将来構想事業への協力を承認
・ 国大協総会に出席(学士会館)、新会長に選出された小宮山宏・東大学長が所信を表明
2007年6月12日 火曜日
・ 文科省の結城彰夫事務次官が来学、聴覚障害者の遠隔地情報保障システムや視覚障害学生の授業を視察
・ 人文・社会科学系学長懇談会に出席、「筑波技術大学における人件費削減」の苦境について話題提供
2007年6月11日 月曜日 ・ 学生の聴力変動について
【聴力変動】を見逃さないことが、聴覚障害者の聴覚管理と補聴管理には重要である。今では、私が直接学生に会って補聴相談する機会は殆どなくなってしまったが、最近、聴力が急に悪化した本学の2名の学生について、担当教員や親から相談を受けたので助言した。一人は視覚障害学生で、もう一人は聴覚障害学生である。
【聴覚管理】の基本は、本人がいち早く自分の聞えの変化に気付くこと(幼児にあっては親が)である。そして、その訴えを迅速に受ける担当者・窓口が用意されていることである。今回の2症例は、本人の自覚と周囲の関係者の対応により大事には至らなかったが、改めて大学としての聴覚・補聴器管理の体制を確認する機会となった。
視覚障害者にとって難聴が進行することの不安は大変なものがある。また、残存聴力を慎重に保有管理してきた聴覚障害者にとって、更に聴力が悪化したときの辛さも深刻である。
【補聴器】を交換したり、補聴器の音響特性を変更した時期に、たまたま聴力変動・変化の診断が重なることがある。そんなときは、補聴器選択の不適合が原因ではなかったか、補聴器の過大な出力特性を処方したことによる音響外傷だったのではないかと、心配が尽きない。補聴相談の担当者が一人で悩むよりも、耳鼻科校医や担任教員等も交え、保健管理センターを中心とするケースカンファレンスを開くのも一つの方法であろう。聴力変動・変化の原因はなかなか特定できないものである。しかし、私がこれまで経験した症例の多くには何らかの「ストレス」が関係していたように思う。
2007年6月7日 木曜日 ・ 監事監査
【監事による監査】は、本学の平成18年度の業務が事業計画に基づき適正に行われているかについて監事から意見を受けるものである。本学の監事は、菅井邦明氏(東北福祉大学教授、前・東北大学副総長)と片桐弘勝氏(片桐公認会計事務所長)である。
会計監査人であるあずさ監査法人による監査報告会がもたれた後、本学監査室長の吉野公喜・理事(東日本国際大学長)も出席し、菅井邦明・監事と片桐弘勝・監事が、障害者高等教育研究支援センター、保健科学部、産業技術学部、事務局の順にヒアリングを行った。
2007年6月5日 火曜日 ・ 理療科教員養成課程設置準備室の第1回会議開催
【理療科教員養成課程設置】を準備するための第1回会議が開催された。竹田理事・事務局長を室長とし、13名の教員と事務職員の混成チームである。できれば4年制第1期生卒業につなげて平成22年度のスタートを目指し、進展を期待したい。
2007年6月1日 金曜日 ・ 国大協支部会議 ・ 埼玉大学新東京ステーションカレッジ開所式
【教育再生会議】が夕刻に開催され、国立大学法人の運営費交付金の配分方法などの大学・大学院改革が盛り込まれる第2次報告が発表されることになっている。それに先だって、国大協の関東・甲信越地区支部会議が東京(如水会館)で開催され、15名の学長等が参集した。本学の竹田理事も陪席した。文科省からは国立大学法人支援課の藤原課長、文教施設企画部の岡技術参事官と竹田企画官が出席し意見交換を行った。
【埼玉大学】の「新東京ステーションカレッジ」開所式に出席した。昨年7月に本学の聴覚障害系支援課長から埼玉大学学生支援課長に転出された安冨博課長が式典会場で出迎えてくれた。
東京駅に隣接して完成したばかりのサピアタワー9階に開校したサテライト施設である。夜間に社会人大学院教育などに使用されている。本学も障害者の「社会人学び直し」などに活用できる東京サテライト施設がほしいところだが、年間何千万円もの借料を用意することは夢のような話しである。なお、埼玉大学新東京ステーションカレッジを貸してもらって利用するとすれば、約30席の会場の使用負担金が4時間で約1万円だそうだ(8時間で約2万円)。必要なときに適宜使わせていただく方が得策である。
【有馬朗人・元文部大臣・元東大総長】の記念講演「生涯学習・社会人教育の推進を」が記念式典に引き続きもたれた。「日本の子どもたちの学力は本当に落ちていると言えるのか」「問題は青少年の学力ではなく成人の学力」といった話しをインパクトあるデータに基づき聞くことができた。
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