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対談・筑波技術大学に期待すること(宍戸和成氏)

対談の様子
対談の様子。右が宍戸氏、左が大越学長。

大越 本日は、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所理事長の宍戸和成様をお迎えしまして対談を行うことになりました。本日のテーマは「筑波技術大学に期待すること」で、機能強化の取り組みについてご意見を伺いたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

早速ですが、本学の機能強化の取組の中で学部教育が最も重要かと思っています。特に現在、初等教育から中等、高等、全てがアクティブ・ラーニングへの変換ということが広く言われています。その中で大学としてのアクティブ・ラーニングをどのように進めるか、幾つか項目を挙げました。

宍戸  アクティブ・ラーニングは、大学のほうでの能動的学習を実践されて、それは初等、中等教育でも有効ではないかというのが発端だったのかなと考えています。

大越 そうですね。

宍戸 それに関して先生のを読ませていただきました。戦略が4つあって取組が8つあったということですが、最初に高大連携、接続の推進というのが戦略の1で挙げられていますね。

大越 はい。

宍戸 これが、とても大事ではないかと私も思いました。

大越 ありがとうございます。

宍戸 特別支援学校との高大接続の教育拠点ということが、取組の1で掲げておられますけれども これについては具体的にどうやろうとお考えですか。

大越 実際に現在行っていることから簡単にご説明いたしますと、聴覚障害系の産業技術学部では、テレビ会議システムなどを導入し幾つかのろう学校と、一部の授業を共有することや実習などを行っています。また、ろう学校の生徒を本学に招いての体験授業や、逆にろう学校に出向いて出前授業を行ってきました。その中でだんだん連携も深まってきて、アクティブ・ラーニングとして、例えば、CADで設計したものを3Dプリンターで物を作ることなどをしています。お互いに小さな物を作って、その作品を競うことなどを行っています。テレビ会議システムの良い点は、大学ではこういう授業をしている、こういう学科の講義がある、実習室があるということを、連携のろう学校の生徒さんに知っていただけることで、ろう学校からも評判が良いです。この取り組みを大学説明会に先だって実施することで、大学説明会に多くの学生さんに来ていただけているようです。このように、ろう学校側にも、本学としても、入学する学生にとっても、お互いにメリットがあるwin-winの関係を築いていていると思います。

宍戸 資料を読ませていただきまして私が思ったのは、筑波技術短期大学が創設されたときから、技大が持っている本質的な課題なのではないかと思いました。というのは、視覚障害教育とか聴覚障害教育、端的に言うと盲教育、ろう教育の高等教育機関なわけです。したがって盲学校、ろう学校の高等教育部門を担うというのが、短大が設置されたときの創設の理念だったのではないかと思うので、恐らくそれがほかの大学とは違う技大の特色でもあるかと思います。だから技大で教育実践が行われているということについて、盲学校、ろう学校に還元できることが大切で、これからたくさん発信等を行っていただけるといいのかなというのが私の期待です。

大越 今は、全国の大学に聴覚障害者ないしは視覚障害者が入学して、それぞれの環境で学習していると思います。このような状況のもと、障害のある学生だけという本学独自の環境の中で、いろいろな場面で学生が常に主役になれるというメリットがあるかなと私は思っています。先生がおっしゃるような、本学の良いところを中等教育の方にも知っていただくのが大事だなと思います。その中で特に産業技術学部のほうは、工学系及びデザイン系の学科があり、就職率も100%に近いので、技術系を希望する学生さんには本学を目標にしていただけると、私としてもすごく嬉しい限りです。

盲学校関係に関しては、全く同じ部門の鍼、灸、あん摩・マッサージという理療科と保健理療科の2つの科が盲学校専攻科にあります。本学の鍼灸学専攻と盲学校専攻科との共通部分があるため、もともと少ない学生をお互いに取り合うような形になってしまっている現状があります。本学の情報システム学科は、盲学校との競合がなく、盲学校から多くの学生さんが入学しています。

宍戸 盲学校、ろう学校の専攻科とか、高等部の職業学科との連携というのもとても大事だと思います。そして、大学に進むためには基礎的な学力を育てなければいけませんよね。

大越 はい。

宍戸 基礎的な学力を育てるためには教科の指導とか、特別支援学校で言うと自立活動の指導とか、そういう特別支援学校に設けられた教育課程の特色があります。大学の先生方にもそういう教育の内容、学習指導要領の中身を理解していただいて、それをどの様に高等教育機関で引き継いでいくか、連携させていくか、成長させていくかというのが大事だなと思うのです。大学の先生方に高等部の教育の教育課程なり実情というものを、きちんと理解してもらえるといいのかなという期待もあります。

大越 そうですね。そういう意味で本学の教員が現場のろう学校、盲学校に出向いて行けるというのは、現場に触れる良い機会かなと思います。昨年度、茨城県教育委員会と連携しまして、茨城の盲学校、ろう学校と何らかの形で共通の学習や活動を一緒にやっていこうということを始めています。特にろう学校に関しては、これまでのように本学の教員が、ろう学校に出向いて出前授業をする予定になっていますし、テレビ会議システムも使って、高大連携プロジェクトを実施したいと考えています。盲学校に関しては、今、オリンピック・パラリンピックで盛り上がっている時期ですので、視覚障害者スポーツを共有してやっていこうという流れです。

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