触覚情報提示技術
感覚代行で使う触覚ディスプレイはには触覚情報提示モードが情報伝達結果を左右する。多くの触覚ディスプレイは、触刺激素子をマトリックス状に配列した空間情報提示型が採用されている。一般的に、能動的触知様態に依存する場合にはパターン全体をディスプレイに提示する。それゆえ、触覚のパターン認知特性に配慮せねばならない。
一方、受動的触知様態に対応する情報の提示方式は、触覚の時空間マスキングを低減させたり触弁別能を向上させるためいくつかのモードが考えられている。これまでに確かめられているものには、次のモードがある。
同時提示モード(static mode)
このモードは伝達しようとするパターン全体を一度に提示する。情報であることを強調するため、触覚ディスプレイの該当部分を浮上させたり振動させたりして刺激を発生する。使用者は指先や掌を触覚ディスプレイに固定して認識する。情報としてのパターンの全体像を直ちに把握できるという利点があるが、認識の善し悪しは触覚の空間弁別能に依存する。
移動パターンモード(moving-pattern mode)
このモードは電光掲示板にパターンが提示されるように、伝達しようとする情報を右から左へ時間的に移動させる。パターンの時間的移動に伴って、エッジやギャップなどの特徴部分の認識に貢献するけれども、時間的移動に伴う時間的マスキングの影響がパターン認識を混乱させる要因にもなる。
移動スリットモード(moving-slit mode)
このモードは触覚ディスプレイにはパターンの全体が写るが、提示されるのはスリットのような細い部分のみであり、このスリットを右から左への動かす。このモードが考えられた理由は触覚の空間的マスキング、すなわち、知ろうとする対象がその周辺の情報によって妨害されてしまう効果を軽減するためである。結局はスリットに現れる情報の複雑さによって認識の善し悪しが左右される。
要素提示モード(tracing mode) このモードはストロークなど、パターンを構成する要素をまとめてある提示順序に従って提示する。部分が時系列的に提示されるので、同時提示モードよりも触覚の空間分解能は向上すが、後で説明する順次提示モードよりは認知率はよくない。
順次提示モード(tracing mode) 移動スリットモードをさらに発展させ、主としてパターンに該当する輪郭線や特徴部位などの部分の触刺激素子を時間的に順を追って駆動する。刺激点が運動するようなパターンを知覚することができ、それによって対象を認識できる。刺激素子の提示順序は、たとえば、文字を提示するには筆順のような方策を採用する。その結果、このモードによる文字認識では、極めて高い認識率を示すが、反面、入力された情報を順次駆動するためのエンコード技術が必要となる。
仮現運動提示モード(apparent-motion mode) 順次提示モードはパターンの構成要素が複雑であればそれだけ提示時間がかかる。このモードは順次提示モードの特長である点運動刺激を触仮現運動によって生起させ、順次提示と同等の認識率を得ると共に提示時間の短縮を実現する。具体的には提示要素の始点、変局点、終点のみを適切な時間間隔で駆動することによって、あたかも点運動を知覚するような条件を作り出す。その他の駆動点は除外されるので、結果として提示時間の短縮に結びつく。特に、直線成分の多いパターンには効果がある。
