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聴覚障害学生のニーズを活かした支援体制作り
 5.まとめにかえて


ひと昔前、私が学生だった頃は、支援は「要求」しなければ手に入るものではありませんでした。お世話になっていた手話通訳者にたまたま聴覚障害学生の当事者団体「関東聴覚障害学生懇談会」のパンフレットを手渡され、定例会をのぞいてみたのが高校1年生のときです。支援を求めて大学と交渉する先輩たちの姿に共感を覚え、共に活動する仲間に加わりました。どのように障害をアピールし、どうすれば支援を引き出すことができるかを学んだのも、ここでした。今思えば、「要求」していく過程で自然にエンパワメントがなされていったのでしょうか。

障害学生支援に熱心に取り組む大学が増えた現在では、支援は「要求」するものから「提供」されるものになってきています。目に見えてサポートの輪が広がり、内容も年々深まりをみせていることは、大きな喜びです。

大学でのサポート体制が構築されていけばいくほど、聴覚障害学生に求められる何がしかの役割も徐々に浮かび上がってきているように思います。その輪郭はまだおぼろげですが、サポート先進国の米国で言われているエンパワメントやデフプログラムが素地になるでしょうし、国内でもこの役割を意識した動きの萌芽が見受けられます。一人で頑張るのでもない、支援を待つだけでもない、新たな聴覚障害学生像とはどのようなものなのでしょうのか、楽しみなところです。ゆくゆくは、大学と通訳者と聴覚障害学生が協同して、支援が「創造」されていけるようなものになっていけば、と願っています。

エンパワメントやデフプログラムについては下記文献をご参照ください。

【参考文献】
※永井紀世彦(1999)
「聴覚障害者のインテグレーションと大学教育−大学における情報保障を左右する諸要因−」
 『手話コミュニケーション研究』32,pp.32-44.
※松﨑丈
「聴覚障害当事者から見た今回の視察と研修−聴覚障害学生のエンパワーメントを中心に−」
 『日本福祉大学年報』第6号(2003〜2004年度),pp.106-114


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