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パネルディスカッション
聴覚障害学生支援におけるコーディネーターの役割〜さらなる支援体制充実のために〜

【企画主旨】

 新たに聴覚障害学生への支援に取り組もうとする大学が具体的な支援 方法を模索したとき、まず最初に必要なことがノートテイクや手話通訳などの情報保障を行うための支援者の確保であることは、疑いの余地がない。しかしながら、より質の高い支援体制を作り上げていくためには、単に支援者をあてがうのではなく、どのような支援者を確保していくか、そしてどのように適切に支援者を配置していくかといった、いわゆるコーディネート作業が不可欠になる。では,そうしたコーディネート作業は、いかなる性質のものなのか、あるいはコーディネーターに求められる専門性とは、いかなるものなのかといった具体的な内容については、情報保障関係者の間で十分に整理がなされているとは言い難い。そこで今回のパネルディスカッションでは、3名のパネラーをお招きし、このようなコーディネート業務の本質とコーディネーターに求められる専門性について議論を行うこととした。

【司 会】

金澤貴之氏(群馬大学)

【パネリスト】

パネリスト 塩見渉氏(日本学生支援機構特別支援課)
二階堂祐子氏(立命館大学障害学生支援室)
松崎丈氏(宮城県・仙台市聴覚障害学生情報保障支援センター)

 

【概 要】

 3名のパネリストから、それぞれの立場で提案がなされた。  本年度から障害学生への支援について本格的な取り組みを開始した日 本学生支援機構の塩見渉氏からは、同機構が行った全国調査の結果を手がかりに、全国の大学における障害学生支援コーディネーターの現状について言及いただいた。
 二階堂祐子氏からは、立命館大学障害学生支援室、および前職である 京都精華大学での障がい学生支援担当としてのコーディネート経験から、日々直面している課題について、具体例を交えてお話しいただき、コーディネーターの役割とは何かを整理していただいた。
 最後に松崎丈氏からは、授業のコマにコーディネーターを割り振ると いう、一見シンプルに見える作業には、実は、聴覚障害学生の潜在的なニーズの把握などの丁寧な分析作業が必要であること、そして十分なニーズ把握を行うためにも、 聴覚障害学生自らが情報保障に対する評価やニーズ表明を行うことが必要であるということについて述べていただいた。利用学生のそのような力を培いニーズを引き出すことがコーディネーターの「専門性」の一つであり、今後コーディネーターが担うべき役割であるとの課題を提示いただいた。

【パネリストによるディスカッション】

司会/松崎さんの発表から、支援者を適切に配置するためには、アセスメントの作業が重要になるという指摘がありました。それができるのも、教員である松崎さんがコーディネート作業に関与しているからではないかとも考えられます。
 塩見さんの発表の中には、実に多岐にわたった7つのコーディネート業務があげられていましたが、コーディネーターと教員で、コーディネート業務を分業し、協力することで、より質の高い支援体制を構築していく方法も考えられます。
 また、塩見さんの報告の中では、実際にコーディネート業務にあたっている人には、専門の支援コーディネーターが配置されている場合と、正規職員がコーディネート業務を担当している場合との2つに分けられるとの報告がありました。
 組織の中での役割分担といった可能性も視野に入れた上で,改めて,コーディネーターのあり方についてコメントいただけますでしょうか。

パネリストの様子

塩見氏/支援コーディネーターを雇用するのと,大学の正規職員にコーディネート業務を専門的に任せる方法とで、どちらが良いとは一概には言えません。 業務量、障害学生の数、サポート量などは個々の大学の事情によって異なりますから、その実情に応じた配置を考えるべきだと思います。とはいえ、「望ましい」のは、 当然、専門の支援コーディネーターが雇用されることだとは思います。
 また、先ほど7つものコーディネート業務を示しましたが、あれを1人で全てやるのは難しいです。現実的には、業務内容によって、別の部署が管轄するなどの工夫で解決することができると思います。
 もう1つは、各部局に障害学生支援担当者を配置するというやり方を取っているところもあります。
 支援コーディネーターのコストは、障害学生支援のことだけを考えると確かにかなりの額ですが、一般の学生にも有益なサービスの質の向上につながったり、講義が分かりやすくなるなどの効果が見られるのであれば、障害学生のためだけのコストとして考えるべきではないという見方もできます。

二階堂氏/コーディネーターを雇用する際の条件について。例えば、福祉や聴覚障害や視覚障害についての専門知識があるというのは、第一条件にはならないと思います。障害に関する知識は後から勉強しても補えます。それよりも、やはりコミュニケーション能力が命の仕事だと思います。何か課題があった時に、それを解決するためにどんなキーパーソンをつかまえてくるか。学内にある資源をいかに効率的に活用できるか。そして地域の資源とのネットワークをいかに作っていくかです。
 正規職員を専門のコーディネーターとして養成しうるかについて。大学の職員は、学生対応のプロです。障害学生対応をするには、障害学生についての概要を知っていることがプラスされる必要があります。そのための養成はできると思います。ただ、大学職員は2〜3年単位で異動があります。それを考えると、養成が難しい大学も多いのではないかなということを感じます。

松崎氏/教員は教育的な立場から学生を育てます。要因分析に関しては、議論の中でうまく分析を引き出す力が必要になってきますので、その役割を担うのは教員のほうがふさわしいと思います。
 もう一方、実務員というべき支援コーディネーターというのは、教員から、聴覚障害学生の実態やニーズなど、情報を提供してもらい、それに合わせて効果的なマッチング作業を行う役割を担うのだと思います。教員は教育的な見方で学生を育てる専門家として聴覚障害学生と関わり、コーディネーターは教員の考え方を参考にしながらより効果的なマッチングを行っていく。そういう役割分担が考えられます。
 ただし、実際、大学の中に聴覚障害教育に関する専門家が必ずしもいるわけではありません。その場合は、外部にいる専門家の協力を得て、大学内でシステムを構築していく方法があると思います。

【質疑応答】


全体会の様子

Q.(京都大学職員)

塩見さんのレポートの中で、支援コーディネーターが33名というデータがありました。このコーディネーターの方は正規の職員なのか非常勤なのか、身分について、調査していれば結果を教えてください。

A.塩見渉氏(日本学生支援機構特別支援課)

調査では、コーディネーターの属性、つまり教員なのか、職員なのか、あるいは院生なども含めた学生なのかといった点については調査しています。
しかし、ご質問の趣旨である職員としての身分については調査しておりませんので、申し訳ありませんが、ここではお伝えすることができません。

【ゲストからのコメント】

Desiree Duda氏

現時点で日本で提供されているサービスのレベルはすばらしいです。 白澤先生に初めて会ったのが2年前で、そのとき現状を聞いたら発展途上でした。たった2年でここまでのレベルに成長されたことは、本当にすばらしいことだと思います。

Barbara Keefe氏

私も素晴らしいと思います。特に驚いたのは、ろう・難聴の学生自身が自分たちが受けているサービスを評価できるまでに、エンパワメントできるという点です。皆さんに賞賛を送りたいと思います。

James J.DeCaro氏

皆さんは、適切に、質問をされておられました。そして、適切に、課題 に取り組んでおられました。

開催要項プログラム基礎講座分科会分科会対談企画パネルディスカッション参加者の声当日資料



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