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第12回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム


 2016年9月8日・9日に、筑波技術大学、ノバホール、イノベーションプラザ(いずれも茨城県つくば市)を会場として、「第12回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム」を開催しました。急な台風の接近により、第一日目急きょプログラムを短縮しての実施となりました。
 当日は大きな混乱もなく、全国の大学教職員、学生等424名(関係者含む)にご参加いただきました。足元の悪い中、集まって下さった方々に心より感謝申し上げます。また、悪天候やプログラム変更の為、やむなく欠席された方や希望の企画に参加できなかった方々には、心よりお詫びを申し上げます。

【第1日目 アフタヌーンセッション】
 1日目は筑波技術大学天久保キャンパスを会場として、セミナーや展示、見学ツアーなど複数の企画を並行して行うアフタヌーンセッションを行いました。

■聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト 2016
 全国の大学・団体から15件の応募があり、情報保障に関する創意工夫や、チームの力で運営する養成や交流企画など、さまざまな取り組みについて発表されました。インパクトのあるポスターを作成したり説明の仕方に工夫を凝らすなど、より多くの人に成果を知ってもらおうという熱気にあふれていました。

『聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト2016結果発表』のページ へ


■事例討論会
 少人数で具体的な事例についてディスカッションを行う企画を、今回初めての試みとして行いました。「支援体制に関すること」「個々の学生への支援に関すること」の2テーマを設け、それぞれ2回実施しました。支援経験の豊富なファシリテーターの進行と、事前の募集で提供された具体的な事例を取り上げたこと、また教職員や学生など多様な立場の参加者が意見を交わせたことなどが功を奏し、充実した議論を行うことができました。

■セミナー
 聴覚障害学生支援に関して、いま注目すべきトピックを取り上げ、基礎知識から具体的先進的事例までを学べるセミナーを4企画設けました。従来の分科会に比べ時間が短く、レクチャー中心の企画でしたが、参加者それぞれが関心のあるテーマを選んで参加し、講演を聞きながら熱心にメモを取る様子が印象的でした。
セミナー1 基礎講座 障害者差別解消法と障害学生支援―聴覚障害学生の事例を中心に―
セミナー2 音声認識技術を活用した情報保障―合理的配慮とエンパワメントの視点から―
セミナー3 聴覚障害学生の可能性を広げる情報保障支援―さまざまな場面での取り組み事例から―
セミナー4 軽・中等度難聴および中途失聴学生への合理的配慮


■「聴覚障害学生支援に関する機器展示」
 今年の展示企画では、筑波技術大学の教員や大学院生による情報保障研究の紹介を多分に取り入れて実施しました。企業展示も含め、最先端の研究に基づく支援ツールに触れることのできる場として、会場は大変賑わいました。機器展示の内容は以下の通りです。
 ●ウェブベース遠隔文字通訳システム「captiOnline」
  (筑波技術大学産業技術学部 若月大輔准教授)
 ●聴覚障害学生向けソフトウェア操作教示ツール「SZKIT」
  (筑波技術大学産業技術学部 鈴木拓弥准教授)
 ●指文字練習システム(筑波技術大学産業技術学部 加藤伸子教授)
 ●視覚障害学生のための修学支援機器
  (筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター 宮城愛美講師)
 ●デジタルワイヤレス補聴システム「Roger」(フォナック・ジャパン株式会社)
 ●情報保障サービスe-ミミ(株式会社アイセック・ジャパン)
 ●UDトーク(シャムロック・レコード株式会社)
 ●聴覚障がい者参加型コミュニケーションツール「LiveTalk」
  (株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ)
 ●電話リレーサービス(日本財団)


 展示スペースではこのほかに、PEPNet-Japan活動紹介として23の連携大学・機関の紹介パネルの展示やPEPNet-Japan成果物の展示、また筑波技術大学の活動紹介として、共同利用拠点事業、高大連携事業の紹介や大学院アクセシビリティ専攻の紹介などを行いました。

 また、夜には学生交流会を開き、約50名が手話教室、フリートークで盛り上がりました。



【第2日目 対象者別企画/全体会】
 2日目は台風も通過し、晴天のもと予定通りのプログラムを実施しました。午前中は、初めての試みとして対象者ごとに企画を3つに分け実施しました。午後の全体会では、パネルディスカッションと実践事例コンテストの表彰式を行いました。

■教職員対象企画
 初めて実施する企画として、「教職員による聴覚障害学生支援実践発表2016」を実施し、日々の支援の取り組みや課題についての12件のポスター発表が行われました。加えて、今年4月の熊本地震により被災した大学での震災後の取り組みについて、遠隔情報保障支援を利用した九州ルーテル学院大学、及びそこで使用されたシステムTTAC Captionを開発した筑波技術大学(三好茂樹)、熊本学園大学より発表がありました。
教職員だけが集まる場ということで、どのポスター発表においても、日々の支援業務について大変具体的で経験に基づいた意見交換がなされていました。

■学生対象企画
  「ろう者学から学びキャンパスライフに活かす」をテーマに、ろう者学教育コンテンツの映像教材を活用して、聴覚障害学生と支援学生との関係や大学生活を、文化の違いという観点から見直すワークショップ形式の企画を行いました。グループディスカッションでは、筆談や手話など全員がわかり合える方法を模索しながらコミュニケーションを図り、熱心に意見を交換していました。

■教職員・学生共通企画
  教職員も学生もともに学べる企画として、「聴覚障害学生のキャリアを見据えた教育・支援のあり方―障害者雇用促進法の改正とキャリア発達支援―」をテーマとしたミニ講演会を行いました。改正障害者雇用促進法の概要、障害者雇用の現状と課題、また聴覚障害当事者の社会人の立場から、法改正後の実際の職場の状況や当事者としてなすべき工夫や努力について、講演がありました。

■全体会 パネルディスカッション
  「障害者差別解消法で変わるべき聴覚障害学生支援」をテーマに、具体的事例について検討するパネルディスカッションを行いました。講師として若林亮氏(弁護士)、金澤貴之氏(群馬大学)、牧野容子氏(立命館大学)を迎え、多くの大学で起こるであろう聴覚障害学生支援に関わる事例について、法律の観点、聴覚障害学生への教育・支援の観点、支援業務の運営の観点など様々な視点から、各講師が重視する考え方や判断のポイントについて議論しました。




本シンポジウムの開催にあたりましては、企画コーディネーター、講師等、多くの方々にご協力頂きました。また、ご参加頂きました皆様にも厚く御礼申し上げます。



2016年12月7日
日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)事務局



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