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パネルディスカッション
「高等教育機関における学内支援ネットワークの構築
  −聴覚障害学生支援体制の強化をめざして−」

【企画主旨(抜粋)】
パネルディスカッションの様子 高等教育機関における支援体制の構築や運営について、これまでコーディネーターの役割の重要性が議論されてきた。その一方で、大学は「組織」によって成り立っている。 大学によって事情は異なるものの、聴覚障害学生支援にはさまざまな立場の教職員が関わっている。それぞれの専門性を発揮し、スムーズな連携を取ってこそ支援体制は組織の中に位置付いていくと考えられる。
そこで今回は、人材のネットワーク作りとその活用に焦点をあて、それぞれの立場にある人がいかに役割を分担し、連携して高等教育支援の充実につなげていけばよいかについて議論することとした。
このパネルディスカッションを通して、それぞれの関係者が日々模索している課題を出し合い、お互いに解決の糸口を探っていけたら幸いである。


司会
 青野 透氏(金沢大学)

【パネリスト】
 松原 崇氏(大阪大学障害学生支援室)
 → PPT資料のダウンロードはこちらから(pdf 1.4MB)当日資料
 → レジュメのダウンロードはこちらから(pdf 0.2MB)当日資料

松原氏PPT画像 松原氏PPT画像2

 長澤慶幸氏(同志社大学学生支援センター京田辺校地学生支援課)
 → PPT資料のダウンロードはこちらから(pdf 0.2MB) 当日資料

長澤氏PPT画像 長澤氏PPT画像2

 金澤貴之氏(群馬大学教育学部)
 → レジュメのダウンロードはこちらから(pdf 0.2MB)当日資料

資料の一括ダウンロードは「当日資料及び追加資料」をご覧ください。

【指定討論】
 今村彩子氏(Stadio AYA,「ユニバシティーライフ」監督)

概要
パネリストから、それぞれの大学の支援体制立ち上げからこれまでの経緯と、現状の問題点、今後の課題について報告がなされた。
松原氏は、非常勤のコーディネーターの立場から見る支援体制の課題として、

  • 支援業務にかかわる人は多岐に渡り「ネットワーク」に含まれるのは誰なのかを改めて見直す必要があること
  • 意図的にネットワークを構築しようとする場合、どこから着手するべきか考えなければならないこと
  • 学内にとどまらず学外にもネットワークを広げ、情報交換できる環境が必要であること
の3点を挙げた。

長澤氏は、全学的な支援組織作りに不可欠な要素として、「コミュニケーション」と「理念」を挙げた。制度に不備はつきものであるがそれを補えるのは関係者間の密なコミュニケーションであること、また、担当者が変わっても支援体制を維持するには、大学としての基本理念がしっかりしていることが大切であると強調した。

パネルディスカッションの様子3

金澤氏は、安定した支援体制のためには、コーディネート業務の「分業」が重要であると述べ、一時的な支援の質の低下を恐れず、コーディネーターが仕事を抱え込まずに分担して取り組む体制が必要であると強調した。
また、「障害のアセスメント」や「教育的視点からの配慮」という、支援担当教員だからこそ担うべき業務があり、支援室やコーディネーターが置かれていても、この役割を誰が担うかは重要な課題であると述べた。


【ディスカッション(一部)】

今村/大阪大学の松原さんに質問です。紹介のあった大学憲章は、障害者差別をなくし、機会平等を謳った四国学院大学の規定と似たものがあると感じました。 私が取材した時は、四国学院大学には25名のろう・難聴学生が在学していて、学生がお互いに不満や悩みを話し合うWINGSという当事者団体が立ち上がっていましたが、大阪大学では、大学の支援制度とは別に、このような活動はあるでしょうか。

松原/一言で言えば「ない」というのが現状です。
私がコーディネーターになる前、普通校から大学に入学し、情報保障そのものを知らず、入学当初はノートテイクも断った学生の事例があったそうです。最初に、ノートテイクを利用している同じ立場の学生から声をかけたり、その経験を聞いたりすることもあれば、また違った展開があったのではないでしょうか。学内支援ネットワークというと、「利用学生と支援者」という形を考えがちですが、利用学生によるピア支援ネットワーク作りも必要だと思います。

パネルディスカッションの様子2

今村/同志社大学の長澤さん。
全障害学生数が多いのに比べて、支援制度を使っている数はかなり少ないように思いました。聴覚障害学生の中だけでもそのような差があるのでしょうか。
また、障害学生の中には自分のニーズに気づいていない学生もまだまだいるのではないかと思いますが、潜在的ニーズをどう掘り起こして支援に繋げていくかについても、教えてください。

長澤/聴覚障害学生は46名で、そのうち制度登録学生は9名です。
障害の程度によって支援を必要としていないとか、あるいは利用したくない学生さんというのはどうしてもいると思いますので、全員が制度を使っているわけではないというのが現状です。
潜在的なニーズの掘り起こし方については、3月初旬、入学予定者全員に、障害学生支援制度のパンフレットを送っています。最終手続きをする前に制度があることを知って、できるだけ早く相談してほしいからです。
このほか、学内8箇所のモニターで手話講習会の様子を紹介したり、教養科目など大規模な授業では、パソコン通訳の文字をスクリーンに出したりしています。 また、事務室のカウンターの前にあるラウンジスペースで「ランチタイム手話」という手話学習会をして、多くの学生の目に付くように工夫しています。

今村/金澤先生に伺いますが、もし、聴覚障害学生が全員卒業していなくなってしまった時、これまで運営してきた支援制度はどうなってしまうのでしょうか。

金澤/群馬大学では、3人いた聴覚障害学生が今は2人で、いつも入ってくるとは限りません。だからこそ、ルールが必要だと思っています。 群大では、障害学生就学支援実施要項というのが全学の運営会議で承認されています。
また、障害学生がいなくてもある程度の機材やスタッフがいられるように、音声認識を利用したによる字幕システムの研究をしています。 今は英語教育に応用していますが、聴覚障害学生以外に英語の苦手な学生や留学生にとっても、「文字が出る」ことは意味がある支援だと理解してもらうこともひとつです。
ただこれは次善の策で、あくまで、支援体制の維持に最も大事なのは、ルール化に尽きると思います。

青野(司会)/金沢大学では、地域でノートテイカーのプールができないかと考え、昨年度から「コンソーシアム石川」とも協力しつつ、年2回講習会でノートテイカーの養成を図っています。 今年度は、金沢大学でノートテイクを身につけた学生が、市内にある他の短期大学の聴覚障害学生のサポートを行いました。「地域に、技術を持ったノートテイカーが常にいる」という状況は、努力次第で実現できると思います。
また、今年度初めて、オープンキャンパスでノートテイクの実演という模擬授業を行いました。広報がうまくいかず聴覚障害のある高校生の参加は少なかったのですが、金沢大学にノートテイク制度があるということが、7千人ほどの参加者にある程度伝わったのではないかと思います。

フロア(大学職員)/情報提供です。1つは、大学の募集要項には、必ず「身体障害を持つ受験希望者がいれば事前協議します」という項目を載せているはずです。ご自分の大学の学生募集要項に事前協議や相談に応じるという項目があるかどうか、再チェックしたほうが良いのではないかと思います。
2つ目は、金澤さんがルール化という話をされましたが、窓口や支援室、委員会を置く際に、内部で規則を作るはずですよね。 要綱や内規、根拠をきちんと作っておけば、学生がいなくなっても大丈夫だと思います。

長澤/ルール化というのは、業務のマニュアル化という側面だと思います。同志社大学の制度は7年経ち、職員の人事異動等で当初あったはずの役割分担があいまいになってきましたので、昨年、支援制度の基本方針を作り、各部署の役割をマニュアル化しました。
学生支援センターの中でも、コーディネーターは、日常的に障害学生やサポートする学生とコミュニケーションを取り、より良い支援を探っていくのが主な役割だと思います。我々の仕事は、ノーマライゼーション委員会という全学の組織や他部署との折衝、外部機関への窓口などになります。

松原/(非常勤であるために)意思決定ができないというよりも、逆に障害に詳しいわけでもないのに意思決定やアセスメントを求められて、自分が決定していいのかという悩みはあります。
もっと変えていくべきことはたくさんあると思いますので、大阪大学が着手したアクションプラン作りの中で、意見を出していこうかと思っています。

今村/聴覚障害学生への支援が、周りの聞こえる学生のためになることがあると思います。 要望が一部の人のものだけではなく、他の学生に対してもメリットがあるということを前面に出して言っていくことが大切だと思いました。



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