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美術館・ガイドツアーでの利用

 写真1 メモを取りながら参加する利用者(東京都現代美術館にて) MCC HubneTが実験を始めて間もない頃のアンケートに、本システムを使いたい状況として「美術館、博物館でガイドさんの話を聞きながら鑑賞したい」という希望がありました。実施の可能性についての調査を始めて間もなく、かねてより授業で本システムを経験していた女子美術大学付属中学校1年生の聴覚に障がいのある生徒さんから、「学校で美術館見学に行く際に遠隔情報保障をしてほしい」というご依頼を受けました。そこで2009年11月26日(木)、東京都現代美術館で実験を実施しました。美術館には学校から説明をして許可を受け、学芸員の方にマイクを着けていただきました。聴覚に障がいのある生徒さんはメモ用ボードにクリップでiPhone 3Gを挟み、学芸員の方の作品解説を、メモを取りながらクラスメートと一緒に聞くことができました。

写真2 森美術館「医学と芸術展」にて(写真は森美術館様提供) 続いて、今度は高校生の聴覚に障がいのある生徒さんから「六本木・森美術館のガイドツアーに参加したい」というご希望をいただきました。そこでMCC HubneTスタッフが森美術館に説明に伺い、実験実施の許可をいただいた上で、2010年2月10日(水)、森美術館「医学と芸術展」におけるサポートスタッフによるガイドツアーで、iPhone 3Gによる遠隔情報保障を実施しました。利用者は高校生と中学生それぞれ1名ずつの2名。森美術館スタッフの皆様の全面的なご協力のもと、約1時間のツアーに、情報保障を受けながら参加できました。
 利用者のお二人は、このような移動場面での文字通訳利用は初めてでした。作品を見て、ガイドさんの口形を見て、しかも文字を読むという忙しさに戸惑いながらも、「ガイドさんの説明が理解できた」、「作品についての説明がよくわかって楽しめた」という感想をいただきました。また、同行したお母様は、普段はご自身がお子さんにその場その場の説明をしている経験をお持ちであることから「私も娘も一緒に同じラインで楽しむことができた。普通の親子では当たり前のことですが」という感想を述べられ、本システムが利用者のみならず、その周囲も含めて、その場への参加をスムーズにするのに有効であるということが示唆されました。

 ※システム運用のポイント
 東京都現代美術館では、残念ながら地下の講堂及び建物中心部の展示室において3G電波が届かず、情報保障が途切れてしまった場所がありました。森美術館については、事前にスタッフの方が展示室内全体の電波を調べてくださった結果、一部の奥まった場所を除き、概ね電波が入ることを確認してから実施しました。美術館・博物館等、本システムの利用が想定される施設の中には機密性が高い建物も少なくないため、今後遠隔情報保障を導入・普及していく際には、事前の電波確認等が一つのキーポイントになるのではないかと考えられます。

MCC HubneT(モバイル・キャプショニング・センター・ハブネット)

梶谷 知子

2010年5月31日

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