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講義場面での利用

 日時:2009年11月30日(月) 13:00~14:40
 講義:『ことばと文学』
 場所:東京大学駒場キャンパス
 状況:3G通信網を利用。電波状況は良好であることが確認できた教室で運用を行いました。パソコンノートテイカー(東京大学バリアフリー支援室に登録する学生サポートスタッフ)は別棟の部屋で入力作業を行いました。話声は比較的聞きやすく入力しやすかったとのことです。ビデオ視聴時の解説も含めほぼすべての情報が漏れなく字幕化されていました。ただ、実際の教室の様子がわからないまま送られてくる音声だけを頼りに文字入力を行うのはストレスがかかるとのことでした。聴覚に障がいのある学生は「ノートテイクより情報量が多かった」と感じたとのことでした。

 総評:移動を伴わない通常の講義場面であっても、本システムを使用するメリットはいくつかあると思われます。その1つに、自分が見たいと思う対象と一緒に字幕を読める位置にiPhone 3Gをもっていくことができるという特性があります。ノートを取りたいときは机の上に、話者の表情等を見たいときは iPhone 3Gを手で持ち、提示画面を見る視線の延長線上に話者の顔がくるようにする、スライドやビデオ教材を見るときも同様、iPhone 3Gを見る視線の延長上に見たい対象がくるようにする、などのポジションをとることができます。

入力用機材

 このようにすることで視線の激しい移動を避けて疲労を軽減し、また、「話を聞きながら」(=提示画面を見ながら)メモをとる、ビデオを見る、といった2つの作業が可能になります。
 もう1つは、本システムの表示端末が小型であり、かつ遠隔通信によるものであることで、聴覚に障がいのある方への心理面への配慮が可能になるというメリットです。本事例では、「目立つ」情報保障は避けたいという聴覚に障害のある学生の希望により、教室内の講義形式による授業で本システムによるデモが行われました。大学に入学する聴覚に障がいのある学生は、聴力、コミュニケーション手段も様々です。高校まで情報保障を受けた経験が全くない学生も少なくありません。大学入学後、各種情報保障サービスの利用、支援室職員との話し合い、同じ障がいを持つ仲間との出会いを通して、聴覚障がい者としてどう生きるのかを模索してゆくことになります。その意味では、「移動を伴う状況下ではiPhone」と使用場面を固定せず、成人であっても利用者の心理的ニーズに合わせて本システムを選択肢として考えてゆくことも大切であると思われます。

 なお、駒場キャンパスでは建物内の場所によっては非常に電波状況が悪く、本システムは使用できる部屋が限られてしまうことから、現在、PSP(プレイステーション・ポータブル、SONY製)を利用した情報保障を定期的に行っているとのことです。

国立大学法人 東京大学先端科学技術研究センター

人間情報工学分野

特任助教 中野 聡子

2010年5月31日

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