ここから本文です

教育実習での利用

 2009年8月31日(月)、9月4日(金)、7日(月)、11日(金)の4日にわたり、知的障害特別支援学校での群馬大学4年生の教育実習場面で実施しました。

写真1 授業場面の観察・参加という移動を伴う状況であったことに加え、広さの関係で教室内にパソコンノートテイカーを配置することが困難だったこともあり、iPhone 3Gを利用した遠隔字幕配信による情報保障を採用しました。入力者は隣接した校舎内の一室で作業を行い(写真1)、聴覚に障がいのある学生は、観察場面では、記録ボードの上に置いたiPhone 3G字幕を見ながら授業の様子を観察し、ノートに授業記録を作成しました(写真2)。また,参加場面では、アームバンドホルダーを用いて腕につけて授業の活動に参加しました。

 パソコンノートテイカーが教室内にいられないこと、設定が容易であることから、マイクやiPhone 3Gの設定といった、教室内の設定に関してはすべて聴覚に障がいのある学生本人が行うこととしました。同じ部屋にテイカーがいないことは4年間の学生生活で始めての経験であり、始める前までは、「音声がきちんと届いているか?」「接続ができているか?」といった不安もありました。しかし、SMSを活用して連絡をとりながら進めたこと、そして通信が非常に安定していたことで、むしろ「以前のようにテイカーを気にする必要がなくなり、自由になった」と感じていました。

 特筆すべきは、教室内の設定や教員へのBluetoothマイク使用の依頼を聴覚に障がいのある学生自身が行ったことで、これまで受身の立場になりがちだった「情報保障」について、自ら主体的に関わろうとする考え方が育ったことです。

 その一方で、
1)パソコンノートテイカーにとっては、同じ教室内で聞きとって入力するのとは異なり、遠隔地から届く音声のみを手がかりにして入力を行うため、状況がつかみにくい
2)教員の首にマイクをかけた場合、マイクから遠い位置にある子どもの音声が拾いにくく、聞き分けが難しい
3)メインの授業者となった場合、数秒のタイムラグでも授業の進行に困難さが生じてしまう
といった課題もありました。とはいえ、これまではパソコンノートテイクが難しく、手書きのノートテイクしか方法が見つからなかった場面において、iPhone 3Gを利用したことで、情報量の多いパソコンノートテイクによる情報保障が実現できたことは、聴覚に障がいのある学生にとっても大きな喜びになりました。


※システム運用のポイント
 大学での情報保障は、通常2名のノートテイカーによって実施されているところが多く見られます。今回のように、ノートテイカーが遠隔地で情報保障を行う必要がある場合、教室内の機器の設定や教員へのマイクの受け渡しなどは聴覚に障がいのある学生自身が行う必要があります。それは本人にとってプラスになる面もありますが、スムーズな実施を行うためにも、利用者用の簡易マニュアルや事前練習プログラムが用意されることが望ましいと思われます。

国立大学法人 群馬大学

准教授 金澤 貴之

2010年5月31日

本文はここまでです

ここからページ一覧です

ページ一覧はここまでです